序章
W杯での戦績を予想するにあたり、最初の試金石となる六ヶ国対抗、シックスネーションズが2/2に開幕する。
各国の選手にとってもW杯の最終スコッドに残るための大きなアピールの場であり、例年以上にモチベーションが高くなるのは間違いない。
まさにW杯に向けたキャンペーンの「序章」と言っていいと思う。
各国スコッドが出揃ったタイミングでここにリマインドも兼ねて列挙しておく。
ここからW杯に臨む最終スコッドにどのような変化があるのかも注目していきたい。
・IRELAND
昨年度成績: 優勝(5勝0敗)
昨秋NZをノートライに抑えて勝利した勢いをそのままに、今年も快進撃が予想される。
クラブチームの好調ぶりがそのまま代表にも繋がっており、マンスター、レンスターの選手が大半を占める。
怪我で昨秋のテストシリーズの出場を回避した世界屈指のハーフバック、Conor Murrayのプレーに注目したい。
強固なセットピースが強みだが、中でもPeter O'Mahony, Sean O'Brien, CJ Standerが揃う第三列は現在世界最高のバックロートリオと言える。
BKでは昨秋のNZ戦で決勝トライを挙げた大型WTBのJacob Stockdale、昨季のBreakthrough Player of The Year候補にも上がった新鋭のJordan Larmourなど、若手に有望株がひしめく。
・WALES
昨年度成績: 2位(3勝2敗)
昨季からテストマッチ9連勝中と好調のウェールズ。ベテランと若手のバランスが非常に良いチーム。Sam Warburtonの早すぎる引退は残念だが、大ベテランのAlun Wyn Jonesが主将に就き、リーダーシップの面は全く問題なし。
個人的に現在世界最高の13番であるJonathan Daviesの活躍が鍵を握るか。
Gareth Anscombe, Hadleigh ParkesとNZからやってきた二人が活躍したのは昨季の大きな収穫。Dan Biggarとのポジション争いが楽しみなところ。
FWでは核弾頭であるTaulupe Faletauを怪我で欠く中、2017年にライオンズ入りも果たしたRoss Moriatyの奮起に期待したい。
・SCOTLAND
昨年度成績: 3位(3勝2敗)
2015年の躍進以降、前監督であるVern Cotterの流れを上手く引き継いだGregor Townsendのチーム作りは着実に進んでおり、近年は要所での勝負弱さが解消されてきた印象。
バックローの核であるHamish Watsonの序盤離脱は残念だが、2015W杯で活躍するもその後コカイン疑惑で代表から遠ざかっていたJohn Hardieの奮起に期待。今大会でベストのセットを見極めたいところである。
BKは近年タレントが揃っており、誰が出ても遜色ない攻撃力の高い布陣。
僕と同い年であるStuart Hoggくん、その中でも誕生日が2日違いのFinn Russellくんなど逸材が揃う。唯一Russellが離脱した際の10番のバックアップには若干の不安があり、そこは誰もがよく知るレジェンドの息子でもあるAdam Hastingsに期待したい。
最後に、昨季絶好調だったHuw Jonesの攻撃力が特筆モノであることは付け加えておきたい。
・FRANCE
昨年度成績: 4位(2勝3敗)
強豪国の中でも好不調に波があり、かつ選手が頻繁に入れ替わるチーム。それが故にいつもメンバーを固定出来ず、大事な試合で星を落としてきた。
しかし昨秋はアルゼンチンを破るなど来季に向けて期待の持てる内容。ハーフ団をSerin-Lopezで固定出来ていたことが好転した要因であると考える。
個人的には現在のフランスで最も競争の激しいハーフバックのポジション争いに注目したい。 伝統的にフランスは9番に対するゲームメイクの比重が高い。ベテランのMorgan Parraに昨年度定着したBaptiste Serin、急成長中のAntoine Dupontと三者とも甲乙付け難い好選手。波のあるチームをW杯の舞台で落ち着いて引っ張ることを考えると経験で一日の長があるParraの9番が安心か。
10番は常連だったベテランのFrancois Trinh-Ducが落選し、代わりにこれまたレジェンドの息子であるRomain Ntamackが初選出。スタッドトゥールーザン所属の非凡なプレーメーカーで、今後大器になる予感。
・ENGLAND
昨年度成績: 5位(2勝3敗)
『W杯には経験のある選手の存在が必要不可欠』と常々口にしていたEddie Jonesらしく、大幅なテコ入れはなし。ただ、その中でも選手層の厚さを生かし、プレミアシップで活躍した選手を積極的に代表に選ぶパターンも目立つ。
昨秋の日本代表戦でも大暴れした新鋭のJoe Cokanasigaもその一人。同じく昨秋大活躍したSam Underhillの欠場は残念だが、FWの層は厚く不足はなし。
トピックとしては、Ben Youngsの控えをずっと務めてきたDanny Careが外れ、ワスプスのDan Robsonが入ったことか。
個人的注目はGeorge FordとHenry Sladeの二人。この二人がOwen Farrellを押しのけるようになれば、プレーメーカーが増え、バックラインに一気に厚みが増す。10Ford, 12Farrell, 13Sladeのトリプルプレーメーカーの布陣も一度見てみたいところではある。ここにDanny Ciprianiも絡んだほしいところなのだが・・・
・ITALY
昨年度成績: 6位(0勝5敗)
2015年以降本大会での勝利がなく苦しいイタリア。
昨秋もアイルランドに7-54、NZ相手に3-66と大敗するなど、苦しい戦いが続く。
バックラインにはCampagnaro, Allan, Benvenutiなど個人技に優れた選手が揃うが、チームをもう一段上に引き上げるためには近年10番を背負うCarlo Cannaに注目。
ハンドリング、キックともに優れたスキルを持つが、ラインの深いところでプレーする印象があり、もっと相手に接近し、ゲインラインを意識したゲームメイクが出来ればFWのパワーも生かせるはず。
FWの注目は月並みではあるがやはり主将を務めるSergio Parisseとなる。イタリアでは貴重な紛れもないワールドクラスの選手であり、精神的支柱でもある。今大会、そしてW杯本番で台風の目になるためにはこの選手が怪我なくベストの状態でプレーできることが必須だと考える。
どの国も実力伯仲であり、順位予想が非常に難しいが、個人的には以下の通り。
1. IRELAND
2. ENGLAND
3. WALES
4. SCOTLAND
5. FRANCE
6. ITALY
とにかく開幕を楽しみに待ちたい。